• 研究概要

    研究プロジェクト名

    自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究
    Information Network for Natural Disaster Mitigation and Recovery

    研究の概要

    従来から、災害の兆候の早期発見による被害の軽減や災害発生直後の状況把握、救援活動における迅速かつ適切な資源配分、復旧・復興における情報の活用など、世界各地で発生する自然災害における情報の活用は重要な課題とされてきましたが、未だその解決となる技術基盤は確立されていません。本研究では、日本とインドを例として、グローバルな情報ネットワークを活用し、地震・気象データなどの継続的収集・分析基盤を構築していくとともに、災害発生時の救援・救出活動支援および復旧・復興支援に供する技術基盤を開発することが目的です。

    本プロジェクトは(独)科学技術振興機構(JST)と(独)国際協力機構(JICA)の共同事業である地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムの枠組みのもとで実施されています。

     

    地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムについて

    地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムは、開発途上国等のニーズを基に、地球規模課題を対象とした将来的社会実装の構想を有する国際共同研究を政府開発援助(ODA)と連携して推進し、地球規模課題の解決及び我が国の科学技術水準の向上につながる新たな知見を獲得することを目的とします。

     

    地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムサイト

    研究項目

    研究者代表名

    村井純(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

    U.B. Desai (Professor/Director, Indian Institute of Technology Hyderabad)

    研究期間

    2010年7月 ~ 2015年6月 (5年間)

    背景

    インドの多くの地域は、その地理的条件から自然災害の影響を受けやすく、特に北部ヒマラヤ地域は、インドプレートとユーラシアプレートの収束境界に位置しており、中~大規模な地震活動が活発な地域です。過去100年間においても、マグニチュード8を超える3度の大地震が発生しており、最近でも2001年にグジャラート地域にてマグニチュード7.7、2005年にムザファラバード地域にてマグニチュード7.6の大きな地震が発生し、多大な被害を受けています。地震ハザード評価は、ヒマラヤ地域において重要な課題ですが、利用可能な歴史的記録・データは包括的ではなく、入手可能な記録は限られています。また、ビハール、アッサム、西ベンガルや北東諸州のように、毎年モンスーンの時期に発生する洪水や土砂崩れによる被害は甚大であり、最近ではインド南部カルナタカ州やアンドラ・プラデシュ州が集中豪雨による洪水や鉄砲水に見舞われ、数百人が死亡、数百万人が家屋を失っています。このように、災害潜在性が高いにもかかわらず、長年の間政府の対策は被害者救出や支援などの災害発生後の応急対策にとどまる状態にあり、災害の予測、被災の軽減、復興といった分野の知見や技術の蓄積、対応能力が十分とはいえない状況です。このような状況から、最新の災害予測、対応技術の支援、とりわけわが国のような類似した災害環境、対策技術を持つ国の支援が必要とされています。

    研究目標

    • 日本およびインドを例として、グローバルな情報ネットワークを活用して継続的に気象等データを収集・分析する基盤の構築
    • 災害発生時において短時間で被災地に対する通信インフラを提供することによる、効率のよい救援・救出活動の支援
    • 災害情報の共有基盤を提供することで、復旧・復興の各段階で地域住民や救援関係者の活動を情報流通の観点から支援する技術基盤の開発